未払い残業代がある場合に使用者側が受ける罰則とは
従業員に時間外労働や深夜労働、休日労働などをさせた場合には、使用者は、その労働時間に対応する通常の賃金のほかに、割増賃金を支払う必要があります。にもかかわらず、残業代や割増賃金が未払いの場合には使用者(会社)に罰則が課せられる可能性があります。
この記事では、未払い残業代がある場合に使用者側が受ける罰則について解説します。
未払い残業代とは
未払い残業代とは、従業員が行った時間外労働に対して、本来支払うべきだったにもかかわらず、適切に支払われていない残業代や割増賃金を指します。
労働基準法第37条では、従業員が法定労働時間を超えて働いた場合、使用者には残業代や割増賃金を払う義務が発生すると定めています。
時間外労働だけではなく、休日労働や深夜労働についての割増賃金もその対象です。
そもそも、労働基準法第32条により、従業員に法定労働時間を超えて働かせることは原則として禁止されています。
労働基準法で定められている労働時間を超えて従業員を働かせる場合、
使用者(会社)と労働組合や労働者の代表者との間でいわゆる「36協定」を締結し、労基署に提出しなければなりません。
残業代未払いによる罰則とは
前提として、この「36協定」が締結され労働基準監督署に提出されていない場合には、労働基準法119条に基づく罰則が科せられることがあります。
また、「36協定」が提出されていたとしても、残業代が支払われなかった場合には、労働基準法119条1号の規定により「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。
罰則が科されるのは、一般的には代表者や経営者ですが、場合によっては指揮命令を直接していた責任者が刑事処分を受けることもあります。
なお、罰則が科せられた場合であっても、従業員に対する残業代の支払い義務がなくなるわけではありませんので、当然のことながらその支払いをしなければなりません。未払残業代の請求が裁判になった場合で、裁判所が悪質なケースだと判断すると、支払われるべき賃金に加えて、最大で同額の「付加金」の支払いが使用者に命じられる場合があります。この「付加金」の制度は厳密にいうと罰則にはあたりませんが、使用者への制裁と位置づけられています。
まとめ
未払い残業代の存在は、会社にとって大きなリスクです。
未払いが存在する場合、その未払分に加えて遅延損害金や付加金の支払いが必要になるだけでなく、労働基準法に基づく厳しい罰則が科されることがあります。さらには、従業員の働き方に対して企業に厳しい目が向けられる今日では、未払が公になることで、企業の信用を大きく損なう可能性もあります。
未払い残業代に関するトラブルを未然に防ぐためには、専門家のアドバイスが非常に有効です。
労働問題に精通した弁護士であれば、現状を踏まえた上で最適な対策がご提案できます。
まずはお気軽にご相談ください。
Knowledge基礎知識
-
仮差押と差押の違い
売掛金の請求や貸金の返還などを裁判で主張し、勝訴の判決を得た場合、相手が任意に支払わなければ、相手の財産や債権を差し押さえることで、請求の内容を実現することができます。これが「差押」です。しかし、「差押」で請求の内容を実 […]
-
交通事故問題を弁護士...
「交通事故に遭い入院中で仕事を休まざるをえないでいるが、休業中の収入は補償されないのだろうか。」「駐車中の自分の車が当て逃げされてしまった。加害者に損害賠償請求することは可能なのだろうか。」交通事故の被害に遭われた方のな […]
-
株主総会の対応
株主総会は,株式会社においてもっとも基本的な意思決定を行う機関です。取締役など役員の選任や解任,計算書類の承認,剰余金配当,事業譲渡の承認,といった,株式会社において重要な決定を行います。 株主総会を開くにあた […]
-
労働者(従業員)側の...
職場の人間関係や、会社から残業代を支払われていない、労働組合活動をしたら嫌がらせを受けた、家族の介護があるのに遠くに転勤させられそうだ、上司からセクハラ・パワハラを受けている、理不尽な理由で解雇されてしまった、など、様々 […]
-
予防法務とは
一般的に予防法務とは、事業の遂行にあたって発生することが予想されるリスクを事前に洗い出し、それに対する対応をきちんと行うことで、法的問題が発生することを事前に予防するための活動をいいます。たとえば、従業員を雇用する際に、 […]
-
労働審判を申し立てら...
労働審判とは、労働者と事業者との間に生じた民事紛争について、裁判官及び労働関係に関する専門的な知識経験を有する者で構成する審判委員会が、事件を審理したうえで、調停を成立させるか、解決のため必要な審判を行うという手続です。 […]
Keywordよく検索されるキーワード
-
- 交通事故 弁護士 相談 西宮市
- 不動産トラブル 弁護士 相談 尼崎市
- 労働問題 弁護士 相談 西宮市
- リーガルチェック 弁護士 相談 神戸市
- 顧問弁護士 弁護士 相談 芦屋市
- 企業法務 弁護士 相談 西宮市
- 相続 弁護士 相談 大阪市
- 交通事故 弁護士 相談 大阪市
- 顧問弁護士 弁護士 相談 大阪市
- 企業法務 弁護士 相談 芦屋市
- 離婚 弁護士 相談 神戸市
- 労働問題 弁護士 相談 大阪市
- 不動産トラブル 弁護士 相談 西宮市
- 相続 弁護士 相談 神戸市
- 労働問題 弁護士 相談 神戸市
- 離婚 弁護士 相談 大阪市
- 交通事故 弁護士 相談 神戸市
- 債権回収 弁護士 相談 神戸市
- リーガルチェック 弁護士 相談 芦屋市
- リーガルチェック 弁護士 相談 尼崎市
Lawyer弁護士紹介

弁護士 |
山田 和哉(やまだ かずや) |
---|---|
所属 |
大阪弁護士会 大阪弁護士会遺言相続センター運営委員会副委員長 |
略歴 |
甲陽学院高等学校 卒業 京都大学法学部 卒業 神戸大学法科大学院 修了 |
資格 |
2級ファイナンシャル・プランニング技能士 日商簿記3級 |

弁護士 |
式森 達郎(しきもり たつろう) |
---|---|
所属 |
大阪弁護士会 |
略歴 |
関西学院大学高等部 卒業 関西学院大学法学部 卒業 大阪大学高等司法研究科 修了 総務省 行政管理局 公共サービス改革推進室 任期満了 |
行政書士 |
柏井 千尋(かしい ちひろ) |
---|---|
所属 |
大阪府行政書士会 北支部 |
取扱業務 | 自動車登録、各種許認可等申請 |
※行政書士柏井千尋は、「行政書士事務所プリウス」として、法律事務所プリウスとは独立して行政書士業務を行っております。
Office事務所概要
事務所名 | 法律事務所プリウス |
---|---|
所在地 | 〒530-0047 大阪市北区西天満5丁目1-9 大和地所南森町ビル4階 |
TEL | 06-6360-9824 |
FAX | 06-6360-9823 |
対応時間 | 9:00~18:00 ※時間外対応可能(要予約) |
定休日 | 土・日・祝 ※休日対応可能(要予約) |