金銭の借用書や消費貸借契約書があっても返還を請求できないケース
金銭を貸す際に借用書や消費貸借契約書を作成してもらったとしても、さまざまな理由で債権の回収(返還の請求)ができなくなる場合があります。
この記事では金銭の借用書があっても返還の請求ができなくなってしまうケースについて解説します。
借用書・金銭消費貸借契約書とは
お金の貸し借りをする場合に、貸主と借主との間で、お金の貸し借りの事実を確認し、借主が返済を約束し、その条件を確認する目的で書面を作成します。このような書面がないと、あとから借主が「あのお金はもらったものだ」とか「そもそもお金を受けとっていない」などと主張して返済を拒むことがあるため、そのような事態を防ぐ必要があるからです。
借主側だけがサインをするものは「借用書」と呼ばれます。一般的に借主はお金を返すという不利な立場にあるので、借主のサインだけでも貸し借りの内容の確認として有効になります。双方がサインすれば、タイトルにかかわらず法的には「金銭消費貸借契約書」となります。
借用書や金銭消費貸借契約書には、以下の項目について記載する必要があります。
- 貸付金額、貸付の日
- 元金の返済時期とその方法
- 利息についての合意
- 借主が金銭を受領したという文言
- 借主の住所、氏名(自筆)、押印
- 貸主の住所、氏名(自筆)、押印
- 返済が遅延した場合の延滞金などの合意
- 書面の作成日
借用書や金銭消費貸借書が無効になるケース
これらの書面が作成されている場合には、よほどのことがない限り書面が無効とされることはありません。
たとえば、契約当事者が未成年や成年被後見人であるといった形式的な理由で無効になる場合や、あるいはそもそも金銭の受け渡しや返還の合意が認められない、といった実質的な理由で無効になることはありますが、いずれもきわめて例外的な場合に限られます。
貸金返還請求権の消滅時効が成立するケース
貸金返還請求権は、権利を行使できることを知ったときから5年で時効で消滅します(2020年4月以降の場合)。
返還の期限を定めているときはその期限から5年間、期限を定めていないときは貸付から相当期間経過すれば返還請求が可能になり、そのときから5年間となります。
ちなみに、期限の定めをせずにお金を借りることは、言い換えればいつでも返還請求される可能性があるということであり、法律的に見れば貸主の親切でも何でもなく、貸主にとって極めて有利な契約であることには注意が必要です。
まとめ
借用書や金銭消費貸借契約書は、お金の貸し借りについて将来起こるかもしれないトラブルを未然に防ぎ、法的な証拠の確保という観点から重要な書類です。
当事務所では、特に貸主がスムーズに債権を回収できるよう、これらの書類をきちんと整えておくお手伝いをさせていただいております。
また、借用書や金銭消費貸借契約書を公正証書にしたい場合や、債権回収のサポートが必要な場合にもお気軽にご相談ください。
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