取引先が倒産…未回収の債権を回収できるか?
取引先が倒産してしまった場合に、取引先に対する未回収の債権が回収できなくなることで自社が連鎖的に倒産してしまう可能性もあります。
このような自社への影響を避けるためにも、取引先に対する未回収の債権をできる限り回収する必要があります。
ただ、実際には、そのような状況に陥ってからの債権の回収は困難であるケースがほとんどです。
抜け駆け的に債権を回収した場合には、破産手続きにおいて、債権者間の平等を損なうものとして、回収が否認され、回収したお金を後日返還する義務が発生することがありますので、注意が必要です。
以下では、取引先が倒産してしまった場合に債権を回収するための方法について解説いたします。
いずれも、事前の準備が必要なものがほとんどです。
取引先が倒産した場合に最初にすべきこと
取引先が倒産する場合には何らかの予兆があることが通常です。
例えば、取引先に対する売掛金の支払猶予を求めてきたり、逆に取引先に対する買掛金の支払いを支払期限前に支払うように求めてきたりする場合には、取引先の資金繰りが悪化している可能性が高いです。
そのため、これらの事情は一般的に倒産の予兆とされています。
取引先が倒産した場合には、まず①取引先の事業継続の有無、②破産手続きの種類、③未払い金債権の内容の3点について把握する必要があります。
②については、破産手続きが会社更生や民事再生などの再建型なのか、破産や特別清算などの清算型なのかを確認します。
再建型の破産手続きは、会社は営業活動を継続しつつ、債権者に支払いを猶予してもらうことにより会社の再建を図る手続きです。
これに対して、清算型の破産手続きは、会社は営業を停止して清算を行う手続きです。
③については、債権の種類や消滅時効との関係で債権の発生日、抵当権などの担保の有無を確認する必要があります。
取引先が倒産した場合の債権回収をするための方法
①相殺
取引先に対して買掛金などの自社の未払い金がある場合には、取引先の自社に対する未払い金との相殺をする意思表示によって、これらの債権債務を相殺することにより、実質的に債権を回収することができます。
相殺の意思表示は、再建型の場合は再建届出期間中に、清算型の場合は破産手続き中に行う必要があります。
②担保権の実行
取引先に対する債権に抵当権などの担保権が付されている場合には、他の一般債権者に優先して担保権の実行により債権回収をすることができる可能性があります。
もっとも、再建型の破産手続きである会社更生の場合は、担保権の実行が制限されているので注意しましょう。
③商品の引き上げ
自社が取引先に対して商品を給付し、取引先が対価として商品相当額の代金を支払うような売買契約などを締結している場合において、取引先が代金を支払うまではその商品の所有権を自社に留保しておく「所有権留保特約」が付されている場合があります。
この場合には、留保されている所有権に基づいて商品の引き上げをすることができます。
④強制執行
取引先が破産手続きを開始する前であれば、取引先の保有する資産や、第三者に対する売掛金や銀行預金などの債権に差押えなどの強制執行をかけることも考えられます。
ただし、差し押さえを行ったことで逆に取引先の破綻を誘発する可能性もありますので、慎重な検討が必要になります。
また、差し押さえの後に破産手続きに入った場合、差し押さえをした債権者が優先的に支払いを受けられるわけではありません。
強制執行を行うためには、その債権について裁判で確定判決を取得しているか、または取引先との契約書が公正証書により作成され、その中に未回収の債権が発生した場合には強制執行手続きが行われることに同意する旨の執行認諾文言が記載されている必要があります。
以上のほかにも、債権譲渡を行うことなども考えられます。
取引先が倒産した場合の対処法に関するお悩みは法律事務所プリウスまでご相談ください
取引先が倒産してしまった場合、特に中小企業の経営者様は、どうしたら良いのかわからず困ってしまう、という状況になってしまわれる方が多いです。
債権の回収は非常に難しくなりますが、何らかの方法が取れる場合もあります。
法律事務所プリウスまでお気軽にご相談ください。
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専門家名 |
山田 和哉(やまだ かずや) |
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所属 |
大阪弁護士会 大阪弁護士会遺言相続センター運営委員会副委員長 |
略歴 |
甲陽学院高等学校 卒業 京都大学法学部 卒業 神戸大学法科大学院 修了 |
資格 |
ファイナンシャルプランナー(AFP)認定者 日商簿記3級 |
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専門家名 |
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