遺留分侵害額請求の流れとは?協議から調停・訴訟までやり方を解説
相続にあたって自分の遺留分が侵害された場合、相続人は遺留分侵害額請求を行い、侵害された遺留分を取り戻すことができます。
ただし、遺留分侵害額請求を行うためには一定の手続きが必要になります。
今回は、遺留分侵害額請求の流れについて、手続きの概要とともに解説します。
遺留分侵害額請求とは
兄弟姉妹以外の相続人には、相続にあたって最低限受け取れる遺産の割合が確保されています。
これを遺留分といいます。
たとえば、遺言書による相続や遺贈、生前贈与などによって、ある相続人が遺留分を下回る財産しか受けとることができなかった場合には、その相続人は、遺留分を侵害した者に対し、遺留分侵害額請求を行うことができます。
遺留分侵害請求の流れ
遺留分侵害額請求は、以下の流れで進めます。
- 当事者間での協議
- 調停の申し立て
- 訴訟の提起
各ステップにおいて当事者間で合意できない場合には、手続きを次のステップへと移し、最終的には訴訟での解決を目指します。
1.当事者間での協議
遺留分侵害額請求ができる期間は、遺留分の侵害を知ったときから1年とされています。
相続の手続をしていると、1年はあっという間に過ぎてしまいますので、遺留分が侵害されている可能性があることが分かった時点で、遺留分侵害額請求の意思表示を行なうことが必要です。
この意思表示は、通常は内容証明郵便で行ないます。
侵害額を明らかにした上で、当事者間で協議を行い、侵害した者に対し遺留分の支払いを請求します。
当事者間の関係性にもよりますが、場合によっては、この段階で侵害した者が支払いを受け入れ、問題が早期に解決する場合もあります。
内容証明郵便の送付
侵害した者に対し配達証明付きの内容証明郵便を送付し、遺留分侵害額請求の意思表示を行います。
内容証明郵便を利用すれば、いつ・誰が誰に・遺留分侵害額請求の意思表示を行ったかという事実を客観的に記録することができます。
万が一、相手方がそもそも請求をされていないと主張した場合でも、記録があれば、請求した事実を客観的に証明することが可能です。
また、遺留分侵害額請求には、遺留分の侵害を知ったときから1年という時効と相続の開始から10年という除斥期間が存在し、時効および除斥期間を過ぎれば、請求権は消失してしまいます。
しかしこの時効および除斥期間は、遺留分侵害額請求の意思表示をすることで止めることができます。
時効および除斥期間内に請求の意思表示を行ったという事実を客観的に残し、請求権の消失を防ぐためにも、内容証明郵便の送付は有効です。
2.調停の申し立て
当事者間の協議で合意できなかった場合、あるいは請求を無視された場合には、次に検討するのが、家庭裁判所への調停の申し立てです。
調停とは、紛争の当事者間に調停委員が入り、中立の立場として両者の調整を行なったり解決案を提示して、問題の解決を促す制度のことです。
家庭裁判所での調停では、調停委員の仲介のうえで両者が話し合い、合意を目指します。
双方が裁判所からの調停案に合意した場合には、調停成立となり、調停調書の作成により、合意内容の履行を確定させます。
調停後、合意内容が履行されない場合には、調停調書をもとに強制執行を申し立てることも可能です。
3.訴訟の提起
調停が成立しなかった場合には、地方裁判所へ訴訟を提起し、裁判での解決を目指します。
ちなみに、遺留分侵害額請求では調停を先に行うことが基本ですが、相手が話し合いに応じないなど調停による解決の可能性がほとんどないときには、調停を行わずに手続きを訴訟へ進めることもあります。
訴訟では、遺留分侵害額を請求する側が、遺留分を侵害されたという事実やその証拠を収集し裁判所に提出しなければなりません。
具体的な証拠としては、相続や遺贈の原因となる遺言、生前贈与を示す預金の履歴や贈与の契約書、不動産の贈与がある場合には登記、などが挙げられます。
また、証拠をもとに侵害額の算出をすることも必要になります。
裁判所は双方の主張や証拠をもとに判決を行います。
判決内容に納得できない場合、当事者は控訴を行うことも可能です。
まとめ
遺留分は、遺留分を有する相続人の持つ権利です。
もし遺留分を侵害されたのであれば、上記のような方法による遺留分侵害額請求を検討する必要があります。
ただし、遺留分侵害額請求には、期間の制限があるうえ、遺留分額の算定や侵害額の算定など、複雑な法的知識が必要です。
請求を円滑に進めるためにも、手続きは無理に自分で進めるのではなく、相続問題を扱う弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
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