News「国際ロマンス詐欺」や「投資詐欺」等を取り扱う弁護士の広告にご注意ください
インターネットやSNSにおいて、「国際ロマンス詐欺」や「投資詐欺」の被害回復が可能であると謳う法律事務所(弁護士)の広告がよく見られる様になっています。
近年、こういった詐欺被害が増加しているとされており、多くの被害者がおられることが問題となっています。
ただ、弁護士といえども、詐欺師からこういった詐欺被害を回復することは非常に困難です。
特に詐欺師が国外へ逃げてしまうと、その追及はほぼ不可能になります。
一例を挙げますと、詐欺師に対する返金請求の裁判を起こそうとした場合、裁判所に提出する「訴状」が詐欺師の手元へ「送達」という公的な手続で届いたことが確認できなければなりません。国内であれば、特別送達郵便という日本郵便の仕組みを使って、受けとる側は通常の書留郵便とそれほど変わらない手続で受けとることができます。
しかし、これが海外への送達となると、当該国の当局の手続が必要になることがほとんどで、訴状に訳文を付ける(それにも別途費用がかかることでしょう。)などの準備が必要になるほか、相当の期間がかかります。
私の経験で、交通事故の被害者様からのご依頼で加害者に対して訴訟を提起しようとしたところ、その加害者が海外に転勤していたことが判明したことがありました。裁判所と送達の方法について協議をしたのですが、少なくとも半年程度かかるとのことで困っていたところ、幸いその加害者が数ヶ月後に帰国する予定であると相手方保険会社から連絡があり、帰国を待って送達の手続を取り、訴訟を進めることができました。
この案件では加害者が保険に加入をしており、比較的少額の交通事故案件で、加害者が逃げ回る必要もなかったため、無事に訴訟を進めることができ、被害を回復することができました。
一方、詐欺被害の事件となると、被害が保険で補填されることは考えにくいですし、金額も高額、加害者が自ら顔を出すことも考えられません。
詐欺被害の回復をするとすれば、相手方の特定→交渉→訴訟提起→判決→強制執行、という流れになると思われますが、そのいずれのステージもクリアすることがほぼ不可能な厳しい流れです。高額の着手金を支払ったとしても、努力しましたができませんでした、という結果になる可能性が極めて大きいと考えられます。いわば「二次被害」の様相を呈しています。
法的には詐欺被害は回復されるべきものであり、被害を受けた方の経済的、精神的損害は計り知れませんが、その損害回復は弁護士が軽々に依頼を受けることができるほど簡単なものではありません。
東京、大阪などの弁護士会が注意喚起を行っているところではありますが、皆様方におかれましても十分ご注意いただきたいと思います。
(弁護士 山田和哉)
最新の記事
バックナンバー
- 2025年5月 (1)
- 2025年4月 (1)
- 2025年3月 (2)
- 2025年2月 (1)
- 2025年1月 (3)
- 2024年12月 (1)
- 2024年11月 (2)
- 2024年10月 (1)
- 2024年9月 (1)
- 2024年8月 (1)
- 2024年7月 (1)
- 2024年6月 (2)
- 2024年5月 (2)
- 2024年4月 (2)
- 2024年3月 (3)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (1)
- 2023年11月 (1)
- 2023年8月 (1)
- 2023年7月 (1)
- 2023年1月 (1)
- 2022年12月 (1)
- 2022年7月 (1)
- 2022年3月 (1)
- 2021年12月 (2)
- 2021年8月 (1)
- 2021年4月 (2)
- 2021年3月 (2)
- 2020年12月 (4)
- 2020年10月 (2)
Knowledge基礎知識
-
違反社員へ懲戒処分を...
懲戒処分とは、従業員の企業秩序違反行為に対して企業が行う制裁のことを指します。その内容を軽いものから列挙すると、注意を行う「戒告」、給与を減額する「減給」、一定期間の出勤を禁止する「出勤停止」、役職・職位を解く・下げると […]
-
相続においてよくある...
遺産相続を巡って親族間が争いになる、というお話しは、テレビドラマなどでも格好のテーマになります。では、どのような場合にトラブルになりやすいのでしょうか。トラブルになりやすいパターンをご紹介します。①遺産のなかで不動産の占 […]
-
未払い残業代がある場...
従業員に時間外労働や深夜労働、休日労働などをさせた場合には、使用者は、その労働時間に対応する通常の賃金のほかに、割増賃金を支払う必要があります。にもかかわらず、残業代や割増賃金が未払いの場合には使用者(会社)に罰則が課せ […]
-
社員のコンプライアン...
コンプライアンスは,一般的に「法令遵守」などと訳されます。本来の意味は,法規範のみならず,社会規範や倫理などを遵守することも含まれます。とはいえ,法令や規則の遵守は,コンプライアンスの最も重要な要素であることはいうまでも […]
-
相続における遺留分と...
遺言書や生前贈与などで、他の相続人が被相続人の財産を多く引き継いでいた場合、状況によっては納得できないこともあると思います。このような場合、被相続人との関係性によっては遺留分を請求することができます。今回は相続における遺 […]
-
残業代を請求されたと...
残業代とは、それぞれの事業所における所定労働時間を超えて働いた場合の賃金のことをいいます。労働基準法32条は、1週・1日の労働時間を原則週40時間かつ1日8時間までと定めています(法定労働時間)。残業時間を加えた労働時 […]
Keywordよく検索されるキーワード
-
- 相続 弁護士 相談 神戸市
- 交通事故 弁護士 相談 神戸市
- 企業法務 弁護士 相談 大阪市
- 労働問題 弁護士 相談 芦屋市
- 離婚 弁護士 相談 芦屋市
- 交通事故 弁護士 相談 芦屋市
- 企業法務 弁護士 相談 尼崎市
- リーガルチェック 弁護士 相談 尼崎市
- 債権回収 弁護士 相談 西宮市
- 不動産トラブル 弁護士 相談 尼崎市
- 不動産トラブル 弁護士 相談 神戸市
- 交通事故 弁護士 相談 大阪市
- 不動産トラブル 弁護士 相談 芦屋市
- 離婚 弁護士 相談 西宮市
- 離婚 弁護士 相談 神戸市
- 交通事故 弁護士 相談 西宮市
- 相続 弁護士 相談 尼崎市
- 相続 弁護士 相談 芦屋市
- 離婚 弁護士 相談 大阪市
- 労働問題 弁護士 相談 西宮市
Lawyer弁護士紹介

弁護士 |
山田 和哉(やまだ かずや) |
---|---|
所属 |
大阪弁護士会 大阪弁護士会遺言相続センター運営委員会副委員長 |
略歴 |
甲陽学院高等学校 卒業 京都大学法学部 卒業 神戸大学法科大学院 修了 |
資格 |
2級ファイナンシャル・プランニング技能士 日商簿記3級 |

弁護士 |
式森 達郎(しきもり たつろう) |
---|---|
所属 |
大阪弁護士会 |
略歴 |
関西学院大学高等部 卒業 関西学院大学法学部 卒業 大阪大学高等司法研究科 修了 総務省 行政管理局 公共サービス改革推進室 任期満了 |
行政書士 |
柏井 千尋(かしい ちひろ) |
---|---|
所属 |
大阪府行政書士会 北支部 |
取扱業務 | 自動車登録、各種許認可等申請 |
※行政書士柏井千尋は、「行政書士事務所プリウス」として、法律事務所プリウスとは独立して行政書士業務を行っております。
Office事務所概要
事務所名 | 法律事務所プリウス |
---|---|
所在地 | 〒530-0047 大阪市北区西天満5丁目1-9 大和地所南森町ビル4階 |
TEL | 06-6360-9824 |
FAX | 06-6360-9823 |
対応時間 | 9:00~18:00 ※時間外対応可能(要予約) |
定休日 | 土・日・祝 ※休日対応可能(要予約) |