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News気をつけたい法律事務所の広告 その1

 弊事務所のWebサイトをご覧いただきありがとうございます。

 大変残念なことですが、昨今、法律事務所が広告業者に取り込まれてしまい、法律事務について正しくない情報を流し、それを信用して依頼した依頼者が被害を被る、といった事案が相次いでいます。法律事務所のサービスは一般の方にはほとんど情報が無いため、正誤を検討したり比較したりすることが難しく、法律事務所のホームページだから、と信用してしまうのも無理はありません。そのような誤信へ誘導し依頼者を喰い物にするような法律事務所があってはなりませんが、残念ながらそのような広告は後を絶ちません。

 

 昨日SNS上で私が見つけた広告は、不倫の慰謝料請求の交渉を内容とするもの(最近よくあるパターンです)ですが、4年2か月間の相談件数が28,800件を突破した、と記載されていました。

 その法律事務所は、弁護士3名が所属しているようです。ほかに、「残業代請求に強い」「交通事故被害者専門」などの謳い文句も挙げていますから、仮に全て信用するとすれば、不倫慰謝料の業務は1名の弁護士が担当していることになります。

 法律事務所プリウスでは、事務所でお電話をいただいた際には、お電話口で大まかな事情をうかがい、ご来所いただいてお話を伺うかどうかの判断をさせていただいています。弁護士の間では、一般的にはこれは「法律相談」とは言いません。どちらかというと、法律相談をするかどうかの「前さばき」であって、その後ご来所いただいて資料を基にお話しをうかがうのが通常の「法律相談」です。こんなことも、一般の方には分かりませんよね。弊所では、事案にもよりますが、不倫慰謝料の法律相談だと、ご事情や資料の確認に時間が必要なため、ご予約の際は1件あたり約2時間を見込んでいます。

 先ほどの法律事務所の広告の記載ですが、4年2か月間で28,800件ということは、1か月あたり576件、盆暮れ正月毎日休みなしで1日あたり19.2件と言うことになります。これを、1件あたり2時間かけていたら、到底1日では収まらない数字です。1日12時間仕事をするとしても6件。

 この事務所の弁護士3人がすべて不倫慰謝料の相談を受けたとしても、1人あたり1日6件以上。もちろん、これは法律相談だけの話であって、交渉のために書面を作ったり関係者からの電話に対応したりといった、これまた事案に応じて時間のかかる作業は、全く含まれていません。

 

 実際、不倫慰謝料請求についての相談者様からの事情の聴き取りは、弁護士としては非常に消耗する業務です。不倫慰謝料の請求については、夫婦関係についての具体的なトラブルのいきさつのほか、精神的な葛藤についてもある程度詳しくお話しをお聞きする必要があります。相談者様自身が精神的に大きなダメージを受け、激昂されたり、あるいは落ち込んでおられたりします。相談のお話しの中で泣き出してしまわれる方も、感覚的には半分以上おられます。

 ほとんどの弁護士はカウンセリングの訓練は全く受けていません。このようなお話を1日3件も聞けば、肉体的にも精神的にもかなり疲労します。私は意識的に、後のご相談への影響を避けるため、不倫慰謝料など家族関係にまつわるご相談は1日1件と決めています。

 

 広告の数字にうそはないとして、前さばきも含めて1日19件なら、そのアクセス数はたいしたもんですが、そのような前さばきはそもそも「実績」にはなりえません。不倫慰謝料の請求には、証拠関係の確認や婚姻以来の夫婦関係の聴取などが必要で、そのような作業が前さばきでできるはずがないからです。

 「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う。」・・・最近目にした言葉ですが、まさに嘘つきが数字を使っている好例です。

 それが同業者の事務所であるということが大変情けなく悲しく、また私自身強い憤りを感じますが、おそらく広告業者が数字だけ見て記事を作っているのでしょう。「多数の取扱実績」「簡単に解決する」「●●円を獲得」などといった謳い文句は、いったん冷静に考えるようにしてください。

 

 このテーマ、まだまだお知らせしなければいけないことがありそうですので、引き続き記事にしてみようと考えています。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

弁護士 山田和哉

Knowledge基礎知識

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Lawyer弁護士紹介

山田和哉弁護士
弁護士

山田 和哉(やまだ かずや)

所属

大阪弁護士会

大阪弁護士会遺言相続センター運営委員会副委員長

略歴

甲陽学院高等学校 卒業

京都大学法学部 卒業

神戸大学法科大学院 修了

資格

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

日商簿記3級

式森達郎弁護士
弁護士

式森 達郎(しきもり たつろう)

所属

大阪弁護士会

略歴

関西学院大学高等部 卒業

関西学院大学法学部 卒業

大阪大学高等司法研究科 修了

総務省 行政管理局 公共サービス改革推進室 任期満了

行政書士

柏井 千尋(かしい ちひろ)

所属

大阪府行政書士会 北支部

取扱業務 自動車登録、各種許認可等申請

※行政書士柏井千尋は、「行政書士事務所プリウス」として、法律事務所プリウスとは独立して行政書士業務を行っております。

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